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わたしが優しくなるためには

あなたがいなくなって1年
わたしは白い服しか着られなくなって
世界から色が消えました
・だけどでも望む一歩は遠すぎてその長距離に泣きそうになる 
 
あなたがいなくなって2年
いつか少しづつまた色が増えていけばいいと思っていたら
今度は黒い服しか着られなくなりました
・さよならはコーヒーカップ思い切りひっくり返したような暗闇 
 
あなたがいなくなって3年
踏み込まれたくない部分は近寄らないように
近寄らないようにしていることをごまかすように
わたしたちはいつも手をつないでいたよね
・憶測も例えばも気のきいた言葉も消えてしまえばろうそくと一緒 
 
あなたがいなくなって4年
冬が遠ざかったと思ったのに季節が3つすぎればまた冬が来る
お誕生日おめでとう また冬が来たよ
お誕生日おめでとう あなたはわたしが殺さない
お誕生日おめでとう まだこんなに生きている
・悲しみも諦めつかない空洞も 笑えるまで咀嚼し続けている 
 
あなたがいなくなって5年
手をつなぐあたたかさも、だきしめるあたたかさも
突風が吹く人生の前に負けてしまうことがあります
寂しさなんて 死ねばいい
・色褪せた空にも見えるものはある呟いてみた新宿雑踏 
 
あなたがいなくなって6年
おやすみなさいのメールはいつものように送信エラー
届かない携帯電話 送れないメールアドレス
あれから何度も送っている
愛している、は、空を飛んでいきました
・59の数字がひとつ繰り上がり0時になったら生まれ変わるさ 
 
あなたがいなくなって7年
あなたのことを考えると ときどき後悔をします
眼が悪いせいで 月はいつだって満月に見えます
いいわけのような 綺麗事ばかり思い浮かびます
思い出しても終わらないさよならは ばかみたいです
・歩みだし重ね重ねた思い出を忘れはしない過去とは呼ばない 
 
あなたがいなくなって8年
心の形が月の満ち欠けのようにあれば良かった
心の形が月の満ち欠けのようにあれば良かった
心の形が月の満ち欠けのようにあれば良かった
・橋の下落書きひとつ見つけたの雨に打たれたGOD BLESS YOU 
 
あなたがいなくなって9年
夕暮れのオレンジは美しいからわたしの言葉なんてきっと届かないです
想像力の分だけ可能性があると言いますが 動けずにいます
あなたを追って死にたい夜にかじったチョコは甘くて 現実の世界は尊い
言葉なんて太刀打ちできません
・チョコ齧り死を美化しないと笑って生きてるこれがわたしの愛だ 
 
あなたがいなくなった年数を数えるのはやめた
わたしが優しくなるためにはあなたのことが必要だから
忘れることもやめて わたしは生きようと思います
そしていい加減、わたしはちゃんと、さようならをしよう
ねえ、あなたの足元に今日も風は吹いていますか?
最後にひとつ祈るならば、どうかそれがそよ風のようなものでありますように
・さようなら会えないだけでキミは居るそうして人はまた歩みだす 
 
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