白で塗ってあげる

※Tokinちゃんに向けて書き下ろしたテキストです

 
ピンチはチャンスとか
言えるような過去じゃなかった
困難はのりこえろって言うから
よじのぼろうとしたらケガをした
そういうの比喩だって教えてほしかった
  
空白を読めだとか 想像をしろだとか
答えなんてないだとか 余白を与える計算だとか
そういうの比喩だって教えてほしかった
大丈夫、みんなできないよって教えてほしかった
  
ドアの向こうに 置いてみたい気持ちがある
絵に見せかけて 飾ってみたい言葉がある
次の行動を起こすたびに 待ち伏せる「難問」を
わたしは右の壁に寄せるから
あなたは左の壁に寄せてほしい
  
雑に積み上げたそれらを見て
わたしはたぶん、笑ってしまうけれど
勢いで走る元気なんて
あの正義のヒーローと同じで3分しかもたないし
むりやり平坦にした道を歩こう
いちいち全てにビクついて
おそるおそる ゆっくりと歩こう
  
ヤケになって笑いながら進む足跡は
きっと滑稽で かわいいよね
  
たとえば本音がわからないと言われてたとしても
わたしの中にある白はほんとうだ
そんなの気のせいだよって言われたとしても
埋め尽くしてしまえる白はほんとうだ
だから全部、塗ってあげる
読めない空気は
わたしが白で、塗ってあげる
その上にあなたが好きなものを描けばいい
  
イフ
ユー
ウォント
  
ハリボテの白は いつか剥がれてくるのだけど
抗えない黒は いつか透けて見えるのだけど
でもいまは放り投げていいよ
またそのときに考えたらいいよ
  
そういうの全部塗ってあげる
わたしが白で塗ってあげる
いつか剥がれてくるのだけど
抗えない黒は見えるのだけど
でもいまは放り投げていいよ
またそのときに考えたらいいよ
  
これから先もずっと
人間が使える魔法しかいらない
  
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