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この現実は通過点〜クムリウタ /(大塚愛)

 
昨日、越えたのに…また明日が来た 
 
 
これは昨日越えた今日のはず、これは昨日越えた苦しみのはず 
何度乗り越えたらおわるの、今がまた昨日になったらいつも今日がはじまる。 
 
 
カテゴリだけ増えて、CD屋さんのジャンル分けも、本屋さんのジャンル分けも、 
雑誌の服装ジャンル分けも、みんななにがなんだか分からない。 
居場所はいくら増やしても、さらに気をまわして 
「そこに入れない方はこちらに入ってくださいね」 
なんて言われても、 
そこにも入れない人は必ずいるよ。 
わたしなんかまさにそのタイプだな。 
 
 
薬を飲んでいないときの自分なんてもう覚えてないくらい昔で 
その自分が思い出せないのになにを目指して治していけばいいんだろう。 
通常の性格ってなんだろう、 
わたしはどのくらい元気なら普通なんだろう。 
目指すところが分からない 
ゴールがないから走れない。 
ここに立っているのに、自分がどうなればいいのか分からない。 
どうすればいいの? 
からっぽなものは何で埋めてるの? 
どうやって生きてるの? 
どうんな風に生きてるの? 
みんなどうしてるの? 
どこに?どうしよう。 
どうすれば?どうしよう、 
どうしよう、どうしよう 
 
 
苦しいときに繰り返す呪文 
「まだここは通過点」「まだここは通過点」 
まだここは通過点だけど、わたしはいつ通過点じゃなくなる? 
ここはいつ通過点じゃなくなる? 
ここはいつずっといてもいい場所にかわる? 
だからそんなこと考えなくてもいいように、 
今日も感情の首しめてつぶやく「大丈夫まだこの現実は通過点」 
わたしなんてただの通過点、だから何を言われても大丈夫 
わたしなんてただの通過点 
 
 
自分らしくとか、自分がないからできないんです。 
びっくりするほど自分がない。 
虚無感。無です。 
前をむける人はむいたらそりゃあ一番いいけど。 
それができないわたしもいる。 
別に横でも後ろでもなんでもいい、 
なんでもいいよ、だって後ろだってちゃんと見てるんだからな。 
心があります。 
ちゃんと感じる心があります。 
 
 
だから傷つくんだよ。 
 
 
この現実は通過点、 
諦めに聞こえますか? 
わたしなんてまだ通過点だから、 
この現実もまだ通過点なら、 
まだここで立ち止まれないなって思うんです。 
 
 
逃げて捨ててしまわないように歩くことを今はやめよう 
立ち止まってうずくまろう 
これがわたしのできる全力の前向き 
前向きな言葉だけが前を向くことじゃないと、思うよ 
「大丈夫、まだここは通過点」 
 
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