あなたのドキュメンタリー

 
遠くにありておもうのも
そして悲しくうたうのももうやめたいのに、
故郷への愛憎が少しも消えない。
この格好悪さがわたしの現実だ。
 
 
人生は、推敲を重ねた作品ではないのだ。
これはあなたの現実だ。
 
 
本屋さんの入り口にある
今週のベストセラー棚に並ぶような言葉ではなく、
すげー読みづらいブログみたいな
感情過多でとっちらかっている言葉こそ
わたしは愛している。
 
 
名前も知らない誰かがつぶやいた
「学校だるいーマジ病む〜」とか
「寂しいからリスカしたさしない」とか
「いろんなことがつらたん」だとかに感じるリアリティ、
言葉は手段のひとつでしかない。
 
 
もっと軽々しく140文字のツイートをしよう。
感情を捨てないで、軽々しく吐き出そう。
 
 
あなたの人生は芸術作品ではない。
感情は作品ではない。
命に点数はいらん。
メンタルヘルスを語るときにイノセントな言葉はいらん。
人間はお人形ではない。
感情は勝負ごとではないのだ。
これはわたしのドキュメンタリーだ。
そしてあなたの現実だ。
今この瞬間はあなたが毎日紡いできた証だ。
いまこの瞬間にいるのは、
あなたが毎日を紡いできた証だ。
いまここにいるのは、
あなたが頑張って生きてきた証だ。
 
 
近所の人が寝静まった夜中に
車の中で好きな音楽を流して
じっと息をひそめて暗い空を見上げる。
まるで、ここはシェルターだななんて思ったきみのことも。
 
 
コンクリートの車止めに座って缶コーヒーを飲んで
道を行く人と自分との世界は
ほんとうに同じものなのかと考えていたきみのことも。
 
 
眠れない夜に家を抜け出して、
誰の笑い声もしない公園で
誰も自分を笑うものがいない公園で
ブランコに揺られていたきみのことも。
 
 
グループ行動が苦手で、
どんどん透明になっていく自分を保つために
屋上で泣いていたきみのことも。
 
 
たくさんの生徒がいる体育館に入れず、
重い扉の前で全校集会が終わるまでを
そっと過ごしていたきみのことも。
 
 
子供のころに走り回った河原を見つめて、
いつからこうなってしまったのだろう、と
生まれ育った風景が遠く感じたきみのことも。
 
 
今度こそちゃんとやろうと焦っても
コミュニケーションの段階でつまずいてしまって
「真面目系クズ」と自分を揶揄してしまうきみのことも。
 
 
にらんでなんかいないのに
目つきが悪い!と殴りかかられ、
それからサングラスが手放せなくなってしまった
きみのことも。
 
 
わたしから実感だけが抜け落ちて
こころが空っぽになってしまってね、
自分がいなくなってしまう気持ちなの、と
悲しそうに笑ったきみのことも。
 
 
重たい心に支配されて
床から体を起こせないまま
まとめサイトで
「炊飯器でケーキを焼くよ!」っていうスレッドを見て
なぜか少しだけ笑ってしまったわたしのことも。
 
 
大丈夫じゃないけど大丈夫、
というくらいまでは来られたんだ。
何も解決しないし、
ほんとうに大丈夫じゃないときもあるけど
大丈夫なときもある。
わたしは地位も名誉もお金もメンタルの健康もないから
こうして体現していくしかないのだ。
 
 
そしてそれは、
あなたの生きてる姿もそうだよ。
 
 
人間だからいろんな感情がある。
悪いきもちもどす黒い気持ちも、
あいつばっかりってうらやむ気持ちも、
自分だけ足りないと落ち込む気持ちも、
自分意外の全ての人が生産的で立派に見える気持ちも。
 
 
それら全てを
体現せよ!
悲しみも苦しみも
鬱も怒りも悔しさも
体現せよ!
あなたの存在を
体現せよ!
失敗しまくって挫折しまくって
あなたの感情を
生きてるってことを
体現せよ!
 
 
それはね、
あなたの生きてる姿もそうだよ。
あなたの生きてる姿も、
あなたの生きてる姿もそうだよ!
 
 
喜劇のもつ切なさ、強烈にグッとくる一瞬のために。
わたしはばかばかしい風に話して笑っていたい。
言葉の必殺技を確実に使いたい。
メンタルヘルスや生きづらさに無関心な層に
的確に的中したい。
鬱は甘えだとかいじめられる側が悪いっていうやつに
的確に的中したい。
そして精神に限らず障害を美化するやつに、
的確に的中したい。
ゴミではない!そして天使でもない!
わたしは、この現実を的確に突き刺したい。
 
 
こんなもの過ぎたら忘れてもいい。
いつかすっかり元気になって、
メンタルヘルスのことを考えなくなる時が来たら
わたしなんか忘れてもいい。
でも忘れられるためには、出会わなくてはいけない。
だから続けるのだ、死なない手段のひとつになるために
こんなださいことを続けるのだ。
 
 
だから、鬱の苦しさも、
あなたの生きづらさも
確実に突き刺さるように言葉にしたい。
 
 
それが、無関心さに伝えるための、
一番の希望だと思っているのだ。
 
 
人生は、
推敲を重ねた作品ではない
これは、
あなたの現実だ。
 
 
人生は芸術作品ではない。
感情は作品ではない。
命に点数はいらん。
メンタルヘルスを語るときにイノセントな言葉はいらん。
人間はお人形ではない。
感情は勝負ごとではない。
これはわたしのドキュメンタリーだ。
そしてあなたの現実だ。
いいか、これはあなたの現実だ。
これが、わたしの現実だ。
それがあなたが体現し続けてきたドキュメンタリーだ。
これが、あなたが体現し続ける、わたしが体現し続ける、ドキュメンタリーだ。
終わらせるな、終わらせるなまじで、死ぬな、終わらせるな、死ぬな。
あなたのドキュメンタリーはあなたの目で撮影し続ける人生のことだ。
あなたが体現し続ける、わたしが体現し続ける、
この、ださい毎日のことだよ。
 
 
今この瞬間は
あなたが毎日紡いできた証だ。
いまこの瞬間にいるのは、
あなたが毎日を紡いできた証だ。
あなたが生きてきた証だ。
 
 
2015年、12月12日、あなたが毎日を紡いできた証をここに証明します。
 
 
偉いぞ!
 
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